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2009年7月14日

ダイバーシティマネジメントにはどんな効果があるか?

Dscf9453s「ヒューマンキャピタル2009」の「女性活用・育成セミナー」で、「先駆的企業にみるダイバーシティマネジメント ~その効果と課題~」というパネルディスカッションを聴講しました。パネリストは、先駆的企業4社(NTTコミュニケーションズ、大和証券、日産自動車、パナソニック)の女性リーダーの方々でした。好事例の紹介がいくつもあり、自分経営・自分管理のために大変参考になりました。

一番ココロに響いたのは、「“自分の時間を自分のものにする”」というワークライフバランス実現の取り組み紹介でした。自分の時間を自分のものにできているか。これって、自分を省みるキーワードにできそうです。

パネルディスカッションを聴講したときの私のメモを、以下で紹介させていただきます。他の記事でも書きましたが、「ヒューマンキャピタル2009」のターゲットは、“企業経営者・管理職、人事・総務担当者”。一般従業員ではありません。この点に留意して、お読みくださいね。

パネルディスカッション概要

日経WOMAN 女性活用・育成セミナー
ダイバーシティ時代の女性活用と組織マネジメント
パネルディスカッション
「先駆的企業にみるダイバーシティマネジメント
 ~その効果と課題~」

パネリスト
・ NTTコミュニケーションズ 取締役
  法人事業本部 チャネル営業本部長
  小林 洋子 さん
・ 大和証券 執行役員 営業担当
  齊藤 直子 さん
・ 日産自動車
  ダイバーシティディベロップメントオフィス 室長
  高橋 美由紀 さん
・ パナソニック
  多様性推進本部 推進事務局 事務局長
  松田 聡子 さん

モデレータ
  日経WOMAN 編集長 麓 幸子 さん

聴講メモ(1)

◆ダイバーシティへの取り組みのきっかけは?

NTTコミュニケーションズ:

  • 電電公社時代から同一職同一賃金である珍しい会社だった。にもかかわらず、ボードメンバーの女性比率は6%と低かった。NTT9社が足並みをそろえてダイバーシティ推進室を設置した。
  • 産休・育休を取れずに会社を辞めるということはない。これらは組織に根付いており、その次の段階を目指している。

大和証券: 

  • ワークライフバランスを経営戦略的に行っている。2004年に社長が就任した際、女性がやめなくていい会社にしよう、ということでスタートした。2008年にワークライフバランス推進室を設置。
  • 2007年春からは、社長の一声で「19時前退館」を始めた。これが成功している。
  • 「女性が働きやすい職場」から「全社員が働きやすい会社」に拡大した。家族が大和証券のファンであるという状況を作っている。

日産自動車:

  • 1999年のフランスのルノーとの資本提携が、ダイバーシティへの取り組みのきっかけとなった。グローバル化の一環の中で行ってきた。
  • ゴーン氏が日本に来た時、日本には女性がいないという話になった。その後、2004年にダイバーシティディベロップメントオフィスを設けた。テクニカルセンター内に託児所を設けている。
  • カギとなるのは管理職男女の行動パターンを理解することから
  • BRICsでのビジネスが拡大しており、国別にカルチャーの勉強をしている。

パナソニック:

  • 日本人の一定年齢の男性としか話をしないことに、社長が疑問に思った。日本に戻ってくるとそう感じるということは、グローバル・スタンダードから外れていることだと、社長が認識した。このことから、それまで人事部門がやっていたダイバーシティの推進を、経営施策と位置づけてスタートした。
  • 4,310億円の赤字の時期にスタート。女性かがやき本部設置、その後、多様性推進本部に。
  • ロールモデルをつくる活動をしている。他には、朝礼のスピーチのテーマを多様性にしてもらうなど。
  • 子育て中の社員を対象としたテレワークは、使う方も使いにくい。このため、子育て中でない社員にも対象を拡大している。

◆ワークライフバランスの取り組みの効果は?

大和証券:

  • 「19時前退館」を全社的に徹底した。「19時前に部下を退館させることができない支店長は、支店長の資格なし」と言われ、現場は慌てた。できるわけないというところからスタートした。
  • 自分の時間を自分のものにする取り組みを行った
  • これらの効果…顔色がよくなった。MBA取得率がアップした。年休取得率がアップした。旦那様がいつ帰ってくるのかわからない状況が解消されたため、奥様に対するウケがよくなった。お客様のウケもよくなった。

日産自動車:

  • ヒット商品が誕生した。車購入の6割は決定権を奥様が握っているという調査結果がある。470万台のうち300万台は女性が購入を決定している計算になる。女性のハートをつかむには、女性社員が必要。ミニバン部門で2年連続第1位を売り上げているセレナは、当初から女性技術員が開発に携わっている。
  • 生産現場の革新。生産現場に2人のリーダが誕生。エルゴノミクスを考慮した改善を行っている。
  • 女性管理職が増えた。1%から5%に。

パナソニック:

  • おそうじエアコン、ななめドラム洗濯機など、ヒット商品が誕生した。生活者の視点を取り入れるようになり、女性の声が活かせる職場である。
  • ライン生産からセル生産に。セル生産のリーダーに女性がなっている。油まみれが当たり前だった職場で、油まみれにならないように、ものつくりの現場で女性が改善
  • 男性にはいろんなしがらみがあるが、女性にはない。だからいろいろできる。そこから良いアイディアが誕生している。

NTTコミュニケーションズ:

  • BtoCのサービスであるOCNの人気コンテンツは、女性が作っている。プロダクト開発でも、デジタルサイネージビジネスは女性部長が担当している。
  • ダイバーシティ推進室ができたことで、基本的な活動がしやすくなった。
  • ダイバーシティ推進が全社的に良い影響を与えた好事例
    • e-work:シンクライアントでオフィスにいるのと同じ環境で仕事ができる。
    • モバイルコネクト:社内メールの受発信、決裁、SalesForceの閲覧などが携帯端末からできる。女性は男性と違ってタイムマネジメントをしなくてはいけない。だから、以前は女性の利用率が高かった。決裁日数短縮などで効果を上げた。これが、現在では男性にも拡大している。

→ 続きはこちらです。

パネルディスカッションの三つ目のテーマ「今後の課題は?」と、聴講した感想は、次の記事「ダイバーシティマネジメントの今後の課題は?」をお読みくださいね。

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(ヒューマンキャピタル2009関連)

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