平成20年版「働く女性の実情」、M字カーブときりん型カーブ
「平成20年版 働く女性の実情」が、先週3月26日に厚生労働省から公表されました。この調査結果の中で気になったキーワードは、「M字カーブ」と「きりん型カーブ」。M字カーブは知っていましたが、きりん型カーブって?
◆M字カーブ
女性の年齢階級別労働力率をグラフに表すと、25~29歳と45~49歳が左右のピークとなり、子育てをしている人が多い30歳代の部分のグラフが、ちょっと低くなります。これが「M字カーブ」と呼ばれるもの。
「平成20年版 働く女性の実情」によれば、今回初めて、M字カーブの底が、30~34歳から35~39歳に移ったのだそうです。晩婚化の影響で、出産年齢も上がり、仕事を離れる時期も高齢化したのではないかとのこと。
また、M字カーブの底が上がってきている傾向がみられるのだとか。平成19年の調査では64.0%だったのが、平成20年の調査では64.9%になったのだそうです。0.9%の上昇。子育て期でも、働けるように、少しずつ、変化してきているのかも。
◆きりん型カーブ
大学卒業後仕事に就くものの、結婚・出産・育児で仕事から離れ、その後復職できない。こういった傾向がある大卒女性について、有業率をグラフに表すと、仕事から離れる部分が急降下します。この部分を、「きりんの首」に例えているのだそうです。他の動物ではなくきりんに例えていることから、ものすごく急に下がっているんだなとイメージできます。
具体的には、下の左のグラフの「女性大学・大学院卒」の線。これが「きりん型カーブ」のようです。ストンと、右下がりになっている部分、これがおそらく、“きりんの首”。
「平成20年版 働く女性の実情」では、以下のように説明されていました。
大学・大学院卒業者については、卒業後すぐの有業率は高いものの結婚や出産、育児を機に早期に労働市場から退出したまま、その後も労働市場に復帰しない者の割合が高いという特徴がかつてはあったために、年齢階級別の有業率が「きりん型」-首の部分(若年層)の傾斜が極めて急であり(高く)、背中(中高年層)が平坦-と称されていた
引用元: 「平成20年版 働く女性の実情」
きりん型カーブの急降下部分が解消されてきているのだとか。いい傾向ですよね。男女差も学歴差も、以前ほどは差がなくなってきているそうです。
◆感想
今回の調査結果で一番印象に残ったのは、以下の部分です。
現在、女性の育児休業取得率は9割近くに達しているが、その一方で、第1子出産を機に離職する女性の割合は7割前後と変わっていない。つまり、7割は育児休業を取得せずにやめているという実態にある。この状況を改善するためには、育児休業制度があるということだけでなく、これをだれもが真に使えるものとすること、そして、育児休業を終えた後も仕事と子育てを両立し続けていくための環境整備が必要である。
今後ますます増加する大卒女性に着目するとき、育児休業を取得し、復職してもなお職業キャリアを発展させていく見通しが立てられる、ということは、特に大卒女性に強く見られる能力発揮意欲の実現と家族形成の二者択一状況を解消する上で必要不可欠の条件であると思われる。このためには、復職後の子育て期に多様で柔軟な働き方を選べるようにすることが必要であるとともに、男性を含めた基幹的労働力の働き方そのものの見直しが重要である。引用元:「平成20年版 働く女性の実情」
I 働く女性の状況
第2章 大卒女性の働き方(PDFファイル)(P.76)
この現状。男性には、理解してもらいにくいかも。結婚したって、親になったって、それ以前と、それほど変わらない人がほとんどでしょうから。女性は、変化を余儀なくされるのに、ね。
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はじめまして、
古い記事にコメントしまして恐縮です。
企画書作成のため、M字カーブ参考にさせていただきました。
大変勉強になりました。
ありがとうございます。
勝手ながらリンクさせてもらいます。
今後とも、よろしくお願いします。
投稿: ニタ | 2010年1月13日 17時04分
★ニタさん
はじめまして。
コメント、ありがとうございました。
後輩たちや娘たちの時代には、よりよい方向に動いていてほしいなと考えているので、M字カーブの今後の変化も気にかけていきたいなと思います。
投稿: windy | 2010年1月17日 11時09分