二者択一構造変革に必要なコストは?
「働く女性の育児支援に1.5兆円必要・厚労省が試算」というニュース記事が、NIKKEI NETに掲載されています。この見出しだけを読んでしまうと、1.5兆円が、「働く女性」だけのために必要と思えてしまうのですが、内閣府の税制調査会の、第20回企画会合(2007年10月30日)の資料で確認してみると、ちょっとニュアンスが違うようです。この資料によれば、「国民が希望する結婚や出産・子育ての実現を支える給付・サービスの社会的なコストの推計」の追加分が約1.5兆円なのです。
試算結果1.5兆円の内訳は、以下のとおりです。
◆1.5兆円の内訳
I 親の就労と子どもの育成の両立を支える支援
【未就学児 ─ 育児休業と保育でサポート】
→ +9,900億円
【学齢児 ─ 放課後児童クラブでサポート】
→ + 900億円
II すべての子どもの健やかな育成を支える
対個人給付サービス
【働いているいないにかかわらず
一定の一時預かりの利用を支援】
→ +2,600億円
III すべての子どもの健やかな育成の基盤となる
地域の取組
【地域の子育ての基盤となる取組の面的な推進】
→ +1,800億円
↓ I から III までを合計すると
9,900億円+900億円+2,600億円+1,800億円
=15,200億円
情報源: 以下の資料から抜粋
内閣府の税制調査会
第20回企画会合(2007年10月30日)資料
[企画20-5] 少子化対策について
「子どもと家族を応援する日本」重要戦略検討会議
「基本戦略分科会」における議論より
(内閣府・厚生労働省)
◆二者択一の構造変革のために
情報源とさせていただいた上記の資料は、わかりやすかったです。女性の労働力がなぜ必要とされているのか、理解をする助けにもなりました。
この資料では、「働くか?それとも、結婚・出産か?」という二者択一の構造変革のために、以下の二つの取組を進めることが必要だと書かれています。
- 「働き方の改革」による
ワークライフバランスの実現 - 女性の労働市場参加を支える
保育等のサービス基盤の抜本的補充
そのために必要なコストの試算が、「1.5兆円」だったわけです。
コストの負担については、「検討が必要である」ということで、締めくくられています。
資料の最後に、参考として、「各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較」グラフが載っています。各国の事情はあるものの、現在の日本と他国との違いを知るためにはいいかもしれません。
というわけで、この資料は、二者択一構造を変えることがなぜ必要なのか、整理してもらったように感じました。私にとっては、結構参考になりました。
この記事を書くきっかけとなったNIKKEI NETの記事は、以下のとおりです。
働く女性の育児支援に1.5兆円必要・厚労省が試算
子供を産んだあとも働き続ける女性を増やすには、出産・子育てのための追加費用として1.5兆円が必要――。政府の「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議の分科会に厚生労働省がこんな試算を提出した。
引用元: NIKKEI NET(2007年10月24日)
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