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2007年1月14日

子どもの携帯電話からのインターネット利用について

お子様に携帯電話を持たせるとき、
どんなことに注意して、どんな安全対策を講じていますか?

携帯電話ができることは、通話とメールだけではありません。
携帯電話からのインターネット接続は、
日常的なことになってきています。

今回は、子どもの携帯電話からのインターネット利用における
注意点と安全対策について、論文風にまとめてみました。

-子どもの携帯インターネット利用における注意点
-子どもの携帯インターネット利用における安全対策
-まとめ

■A) 子どもの携帯インターネット利用における注意点

子どもの携帯インターネット利用の現状と注意点について説明します。

1) 子どもの携帯インターネット利用の現状

 総務省の「平成17年通信利用動向調査」によれば、2005年におけるインターネットの世帯普及率は87.0%に達しているそうです。インターネットは私たちの家庭生活の中に浸透してきており、パソコンからだけでなく、携帯電話やゲーム機からのインターネット利用が可能な環境が整ってきています。

 同調査によれば、携帯端末(携帯電話・PHSおよび携帯情報端末)からのインターネット利用者は1年間で約1,000万人増加して6,923万人になり、パソコンからのインターネット利用を上回っています。子どもが携帯インターネットを利用する割合を3年前と比較すると、6歳から12歳までの子どもは4.6%から22.5%に、13歳から19歳までの子どもは37.3%から76.3%へと大きく伸びています。これらの統計情報からも、通話やメールだけでなく、インターネットアクセスもできるようになった携帯電話は、いまや日常生活に欠かすことのできない、便利なツールになってきていると言えます。

2) 子どもの携帯インターネット利用における注意点

 携帯電話が便利なツールである一方で、子どもの携帯インターネット利用には、特に以下の二つの点において注意が必要です。

 一点目は、有害サイトへのアクセスです。フィッシングサイト、出会い系サイトなどへのアクセスに起因する事件や被害など、子どもたちを狙ったインターネット犯罪は増加傾向にあります。

 二点目は、携帯電話の乱用です。携帯電話は持ち運べるため、子どもは保護者の目が届かない場所で携帯電話を使うことが多くなります。このため、不要な通信コストが発生している場合があります。

■B) 子どもの携帯インターネット利用における安全対策

子どもの携帯インターネット利用における安全対策案について説明します。

1) インターネットを使わせない

 有害サイトへのアクセスや携帯電話の乱用を防ぐために最も効果的な方法は、子どもが使う携帯電話からはインターネットアクセスさせないことです。受信メールの中に含まれているURLにアクセスできないように携帯電話を設定することも、これに含まれます。インターネットを使えなければ、インターネット利用に伴う事件や犯罪に巻き込まれたり、子どもにふさわしくないWebサイトにアクセスしたりすることはありません。

 この方法は、子どもの安全を確保する上では非常に有効であるものの、インターネットの利便性を享受できないというデメリットがあります。

2) 子ども向け携帯サイトを利用する

 携帯電話会社が用意している「子ども向け携帯サイト」の利用だけを許可するという選択肢もあります。アクセスできるのは安全なWebサイトだけであるため、有害サイトへのアクセスを防げます。

 この方法は、インターネットの利便性をある程度は享受できるものの、通っている小学校や塾のWebサイトにアクセスできないというデメリットがあります。

3) フィルタリングサービスを利用する

 インターネットの利便性を享受しつつ、子どもが安全に携帯電話を使うためのより良い方法は、フィルタリングサービスの利用です。

 ネットスター株式会社が実施した「第四回 家庭におけるインターネット利用実態調査」によれば、ワンクリック詐欺やフィッシングサイトへのアクセスを心配する保護者は74.8%、アダルトサイトや出会い系サイトへのアクセスを心配する保護者は60%を超えています。それにもかかわらず、子どもの携帯電話に何らかのURLフィルタリングをしていると答えた保護者はわずか5%です。これは、フィルタリングサービスの認知度が低いことが主な原因であると思われます。

 フィルタリングサービスの認知度向上策としては、携帯電話会社や代理店に協力していただくことが最良であり最速であると考えます。具体的には、新規契約時、使用者が子どもである場合には、代理店担当者がフィルタリングサービスの利用を勧めるといいのではないでしょうか。また、既存の契約者に対しては、ダイレクトメール、Webサイトなどの媒体を使って、フィルタリングサービスをアピールするといいのではないでしょうか。

4) ルールを決める

 トラブルに巻き込まれないようにするために、子どもに携帯電話を持たせる場合のルールを、家族で決めることをお勧めします。

 ルールの例としては、「習い事に行く時だけ持つ」「保護者以外には電話しない」「通話記録やメールの内容は、保護者が見てもいい」「月々の使用料の制限を守る」などが挙げられます。

■C) まとめ

 時間と場所に制限されずに情報を入手できることは、インターネットの最大のメリットです。インターネットを有効にかつ安全に使えることが望ましく、そのための対策を講じる必要は不可欠です。

 子どもが安全に携帯電話を使え、保護者が安心して携帯電話を子どもに持たせられるように、子ども向け携帯サイト、フィルタリングサービスなどを利用してほしいと思います。

 さらに、携帯電話を使う時のルールを家族で決めてほしいと思います。それが、安心なインターネット生活の実現に繋がるのですから。

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※備考
 この記事は、2006年11月に執筆した論文を、
 ブログからの公開用に一部加筆したものです。

◇ 参考文献 ◇

  1. 総務省(報道資料) 平成17年「通信利用動向調査」の結果  
  2. ネットスター株式会社 プレスリリース
    ネットスター、家庭でのネット利用、保護者の心配の元、拡がる

◇ お知らせと感謝の気持ち ◇

携帯キャリア各社の子ども向けサービスや
フィルタリングサービス・ソフト関連情報へのリンク集は、
また今度、他の記事で紹介したいと思います。

お読みくださり、ありがとうございました。

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◇ 関連情報へのリンク ◇

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コメント

なんとタイムリーな話題!!

先日、長女ことっぴが私の母の携帯から、インターネットにつないで叱られました。(アニメやたまごっちのサイトにつないでいたらしい。ほんの数分でしたが)
PCも「お父さんか、お母さんが居る時だけ」など、厳しい制約をしていますが、携帯はもっと気軽につながっちゃうので、とても怖いですよ。

こういうことをするので、ことっぴには携帯は持たせたくないです。5年生くらいだと、友達で持っている子も時々いるので、自分の子は持たせてないからといって安心はできません。

★おそなえ餅1号さん
いつもコメントありがとうございます!
> 携帯はもっと気軽につながっちゃうので、とても怖いですよ。
ホント、そうなんですよねぇ。子ども用携帯電話を提供する場合には、インターネットに接続できないものか、あらかじめフィルタリング設定したものだけを販売するように、携帯会社に対して求める動きが出ています。この動きももっともな感じです。

こんにちは。検索でここを知りました。

さて、質問なのですが、
1. 最近の携帯電話キャリアの方針では20歳未満の利用者についてはフィルタリングを外すことについて親権者の許諾を必要とする方向(NTTドコモはすでにそうなっていて、他キャリアは2月中に改訂)との報道がありました。18歳、19歳を、ここでの文脈で「子ども」とすることは妥当だと思いますか?
2. NTTドコモの場合、ネットスターのデータベースに対するカテゴリ設定で「政治」「宗教」「同性愛」をフィルタリング対象としています。これらのテーマを扱ったサイトを有害サイトとするサービスは社会的に妥当だと思いますか?

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