「博士の愛した数式」と「父の授業」
先日、息子とナイター観戦に行ってきました。
私たちが座った席は、401番と402番。素因数分解してみるまでもなく、隣り合う数であること以外は、特別な関係はなさそうな二つの数字でした。座っている二人が、親子という特別な関係だということを除けば。
なぜこんなことを考えたのかというと、1ヶ月ほど前に「博士の愛した数式」を読んだからです。その中に、博士と家政婦さん親子がナイター観戦に行くシーンがあったから。
小説の中に出てくる席の番号は、7-14と7-15。
714と715には、特別な関係があるのだそうです。
その関係は、以下のとおり。
(714の素因数の和)=(715の素因数の和)
具体的に、式にしてみると、以下のとおり。
714 = 2×3×7×17 | → | 2+3+7+17=29 |
715 = 5×11×13 | → | 5+11+13=29 |
たしかに29になりますね。
この関係がパッと出てきてしまうところが、
博士のすごいところ。
714は、ベーブ・ルースの通算ホームラン数。
このベーブ・ルースの記録を破ったのがハンク・アーロン。ハンク・アーロンの通算ホームラン数は755本ですが、通算713本でシーズンを終え、翌シーズンで715本の新記録を達成するまでの期間は、肌の色が違うことによる嫌がらせや脅迫がすごかったのだそうです。それに打ち勝つという意味でも、ハンク・アーロンにとっては、715は特別な数字だったのかもしれませんね。
「博士の愛した数式」は、友達に薦められて読んだのですが、しっとりとしたなかなかよい話でした。小さいときに博士のように教えてもらえたら、数学好きな人が増えるんじゃないかしら。
幼かった頃、私は、よく父に勉強を教えてもらっていました。父はとても厳しく、問題が解けないとき、私はよく怒られていました。なぜ父が私に勉強を教えたかというと、学生時代の自分のように、「あいつはバレーボールばかりやっている」と娘が言われないようにしたかったからだそうです。つまり、幼い頃から、勉強と部活の両立を教えられていたわけですね(^^;
そんな「父の授業」の中で一番思い出に残っているのは、以下の関係を、父と私の二人で発見したことです。
9×1=9 | → | 0+9=9 |
9×2=18 | → | 1+8=9 |
9×3=27 | → | 2+7=9 |
9×4=36 | → | 3+6=9 |
9×5=45 | → | 4+5=9 |
9×6=54 | → | 5+4=9 |
9×7=63 | → | 6+3=9 |
9×8=72 | → | 7+2=9 |
9×9=81 | → | 8+1=9 |
九九の9の段の答えの一の位と十の位の数を足すと、全部9になるという「発見」です。すごい発見かもしれないということになり、紙に書いて、翌日、小学校に持って行きました。そして、朝の会の、ニュース発表のコーナーで、みんなに紹介したのですが。。。
私のクラスでは、教室の前の一角には、太い針金が張ってあって、今日の目標とかお知らせとかを洗濯バサミで留めるようになっていました。担任の先生は、「すごい発見だね。後で授業でやろうね」というようなことをおっしゃって、父と私の「発見」を、洗濯バサミで留めてくれました。結局、「発見」は、授業で使われることはなく、他の紙と一緒にヒラヒラしていた記憶があります。小学1年生のクラスですから、九九もまだ。先生も困ったでしょうね(^^;
ワタシ的には、算数が面白くなりました。九九のほかの段についても、面白い関係があることを知りました。高校の数学の証明問題でこれらが登場した時、「父の授業」を思い出したものです。
「博士の愛した数式」は、そんなことを私に思い出させました。
父は父なりの愛情で、私を愛してくれていたこと。
今なら分かります。
私を育んでくれた、「父の授業」に感謝!
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博士の愛した数式 小川 洋子 新潮社 2005-11-26 |
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» 世にも美しい数学入門 [miyukichin' mu*me*mo*]
『国家の品格』 でもおなじみの数学者・藤原正彦さんと、
芥川賞作家・小川洋子さんの対談集:
『世にも美しい数学入門』
小川さんといえば、最近映画化もされた小説
『博士の愛した数式』 の著者でもあります。
(↑これも、オススメです{/shootingstar/})
この対談のきっかけも、『博士〜』 執筆のために
小川さんが藤原さんに取材したことからだそうです。
そして、私が... [続きを読む]
息子さんとナイターとは素敵ですね。Windyさんの子ども時代の親子関係が良かったから、親としての親子関係もいいのでしょうね。
博士の愛した数式は、大好きな本です。紹介記事、TBさせていただきました
(二重になってしまったようなので、ひとつ削除してください。ごめんなさい)
投稿: おはら | 2006年7月 2日 21時50分
★おはらさん
コメントありがとうございます!
「父の授業」は怖かったです。2歳の時に、家の外に立たされた覚えも(^^; 親の態度が一貫していたのが良かったのかもしれません。怖かったけれど、遊ぶ時はきちんと遊んでくれましたし。
「博士の愛した数式」の映画は、私も観ていません。おはらさんと同じく、映画でなく本のイメージを持っていたいと思います。
投稿: windy | 2006年7月 3日 00時41分
9の段のおぼえかたで、9x1だと、両手のひらを自分の方に向け、左の親指をまげて、その右側が9本の指が、1の位の9、9x2だと、左手人差し指をまげて、その左側(つまり左手親指)が、1が10の位で、右側8本の指が1の位、つまり18.おなじように、9x3だと、左手中指を曲げて、その左側2本が10の位の2、右側7本が1の位の7、つまり27.というふうに覚える。。。とやったことがあり、これがwindyさんの発見と同じだとおもいます。
ちなみに、私のすきなのは、電卓で1111111と限りなく1をうって、9で割ってください。おもしろいでしょ?
投稿: ちゃい | 2006年7月 4日 11時06分
★ちゃいさん
コメントありがとうございます。両手を使った9の段の覚え方、初めて知りました。ちゃいさんオリジナルだったりします?
「電卓で1111111と限りなく1をうって、9で割ってください。」というのもやってみました。なかなか面白かったです(^^)
では、私も一つ、息子にウケたネタを(^^;
1) 1から9までの数字の中で、一つだけ好きな数字を選んでください。
2) 12345679(“8”はとばします)に、1)の数字を9倍した数字をかけます。電卓で計算します。
例1: 3を選んだ場合
12345679×27(=3×9)を電卓で計算します。
例2: 6を選んだ場合
12345679×54(=6×9)を電卓で計算します。
面白い結果になると思います(^^)
投稿: windy | 2006年7月 6日 02時05分
手をつかった9の段の覚え方は、雑誌の「小学校2年生」でみた覚えがあるのですが、私の買ったものか、はたまた、妹が購入したものか。。。。いずれにせよ、30年ぐらい前の雑誌でしたが(私なら30年以上、下の妹なら28年前ぐらいかな?)、衝撃をうけたので、いまだに覚えています。今ならなぜそうなるかもわかりますが、当時はひえーってな感じでしたので。
windyさんの掛け算も面白いです。なるほどなあとおもっちゃいました。
投稿: ちゃい | 2006年7月 6日 10時38分
こんばんは♪
TBどうもありがとうございました。
お父様の授業の思い出、すごくよい話ですね◎
投稿: miyukichi | 2006年7月14日 02時51分
★miyukichiさん
コメントとTB、ありがとうございました!
実家の父がきっと喜びます(^^)
今度帰省したときにでも、このこと、話してみようかな。
投稿: windy | 2006年7月14日 03時03分