M字カーブの谷はなくならない
女性の就業率向上には、働きづづけるための支援とあわせて、出産・ 育児後の復帰支援が望まれているようです。
株式会社明治安田生活福祉研究所が実施した「第9回結婚・出産に関する調査」によれば、第1子の妊娠・出産を機に仕事をやめた女性は、20 代では73.1%、30代では50.5%とのこと。多くの女性が仕事を離れる選択をしていることが分かります。その理由で多かったのは、職場の雰囲気がよくないからでも、会社の制度が整っていないからでもないようです。では、どんな理由が上位に入っているのでしょうか。
◆妊娠・出産時に仕事をやめた理由は?
上位5位までの理由を見ると、以下のとおり。複数回答であることを考慮しても、自分の気持ちを優先して、仕事を辞めている様子がうかがえます。
第1子の妊娠・出産時に仕事をやめた理由
(第1子の妊娠・出産時に仕事をやめた
20・30 代既婚 女性:複数回答)・ 30歳代
- もともと妊娠・出産を機にやめるつもりだったから
- 家庭を大事にしたいから
- 子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから
- 職場の出産・子育ての支援制度が不十分だったから
- つわりがひどいなど、妊娠しながら働くことが体力的に難しかったから
・ 20歳代
- つわりがひどいなど、妊娠しながら働くことが体力的に難しかったから
- もともと妊娠・出産を機にやめるつもりだったから
- 家庭を大事にしたいから
- 子育てに専念したかったから
- 子どもを大事にしたいから
◆M字カーブの谷はなくならない
女性の年齢階級別労働力率は、25~29歳と45~49歳が左右のピークとなり、子育てをしている人が多い30歳代の部分が、以下のグラフのようにちょっと低くなります。これが「M字カーブ」と呼ばれるもの。出産や育児のために仕事をしていない、または仕事をできない女性が増えるために、このような谷の部分ができるそうです。
上記のような理由で自発的に仕事を辞める人がある程度いるため、M字カーブの谷は浅くなったとしても限定的であると、明治安田生活福祉研究所の調査結果には書かれています。
また、子どもが小学生、中学生になるタイミングで正社員に復職することを希望する女性が多いようです。下のグラフの赤色の部分が該当します。
理想の働き方は以下のとおり。
実際の働き方は以下のとおり。赤色の部分が少ないですね。
このように、理想の働き方ができていない女性が多いようです。
これらから、「女性のいっそうの就業率向上には、雇用関係を継続した出産後の就業促進と合わせて、出産・ 育児後の新たな雇用関係による就業復帰支援が必要」と、調査結果はまとめています。
子どもが小さいうちはパートで働いていて、子どもが小学校・中学校にあがるタイミングで、正社員で働ける会社を探していた知り合いも何名かいました。なかなか見つからず、探すのがとても大変だったそうです。この大変さが緩和されるといいのかもしれませんね。
この記事では明治安田生活福祉研究所のレポートを、紹介させていただきました。レポートの詳細は、下記のリンクをたどってみてくださいね。
出典と情報源
- M字カーブ以外のグラフ
2016年 20~40代の出産と子育て(第9回 結婚・出産に関する調査より) | 調査研究・レポート | 明治安田生活福祉研究所 - M字カーブのグラフ
男女共同参画白書(概要版) 平成27年版
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