女性は育児で辞めちゃうから、男性を採用した方がいい??
治部れんげさんのブログに、とても興味深い記事がアップされているので、紹介させていただきます。それは、以下の記事。「統計的差別が経済的に非合理である」 という部分が、とても興味深かったです。特に、男性のみなさまに読んでほしいな。
採用試験のとき、男性に下駄をはかせているのが公然の事実だと、私が知ったのは、坂東眞理子さんのダイバーシティ講演を聴講した時でした。「え、そうなの???」と、周りに座っていた男性社員の横顔とか、前の方に座っているおじ様の顔を、何人か見ました。誰かの表情が、変わるんじゃないかと思って。表情の変化は確認できなかったけれど。
この“下駄”の話題で、治部さんの記事は始まっています。ですので、関心を持って、興味深く読むことができました。
紹介されていた、シカゴ大学の山口一男教授の論文(PDFファイル)には、「統計的差別が経済的に非合理である」ことが書かれているようです。まだ、要旨と全体を流して見てみただけなのですが、興味深いテーマなので、一通り、読んでみるつもりです。全部で43ページもあるので、まずはご紹介まで。
以前、治部さんがお書きになった連載記事を、日経ビジネスオンラインで読んだことがあります。全13回。下記のリンクから読むことができます。
2007年から2008年にかけての連載でした。当時、学ばせてもらったり、自分や自分の周りを省みたりしたこともあったっけ。このブログで、紹介させていただいたこともありました。
- 本音は「家より会社の方が楽しい」!(2007年07月12日)
- 男が家事をしない理由(2007年08月19日)
治部さんの今回の記事は、以下の力強い文章で締めくくられています。
だから考えるべきは、その企業なり組織が「入社試験の結果だけ見たら採用してたはずの女性」と「高下駄履かせて入れた男性」の能力差であり、育児支援などで前者を引き留めるコストと研修などで後者を育てるコスト、どっちが高いかということだ。
そういうことを考えず「女性は子どもを産むから男性優先で当然」というのは、まあ、おめでたいよなと。
このことを、「女性は出産・育児で辞める可能性が高いから、仕方ない」「企業は合理的に考えて、女性を採用しないんだ」と考える方々に、知っていただきたいなと思いました。
それから、こういうふうに、気持ちや意見をまとめることができたらいいのにな、って思いました。私はゴタゴタするのが嫌で、というか、そのパワーを別のところに使いたくて、あまり主張してきていないから。後輩たちのために、よりよい環境を作りたいのに、矛盾しているかも、私って。。。
坂東さんは、講演で
部下に対する期待の差がある。
女性部下に、ちゃんと期待していない。
と、おっしゃっていました。また、別の講演で、ダイバーシティ・マネジメント先進企業の営業本部長が、トップ・企業の人事担当者に向けて、
- 昇格ルールは、マジョリティである男性のために有利になっていないか、今のルールで、マイノリティである女性が昇格できるか確認をしてほしい。育休を取得すると、それまでの積み重ねがゼロクリアされてしまう会社は多いのでは?
- 管理職が、男性の部下を指導するのと同様に、女性の部下を指導できているか。男性には飲み会の場なので伝えることができる暗黙知を、女性部下にも伝えることができているか。
と、講演なさっているのを聞いたこともありました。いずれも、通じるものがあるように思いました。
という感じに、治部さんの記事を読んで、いろんなことに気づかされたり、思い出したりしていました。
関連情報へのリンク
- 男女の賃金格差解消への道筋:統計的差別に関する企業の経済的非合理性について(PDFファイル、43ページ)
- 独立行政法人経済産業研究所 RIETI
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- 坂東眞理子さんのダイバーシティ講演を聴講しました(2009年12月09日)
- 育休取得で「ゼロクリア」は多くの会社にある?!(2009年07月19日)
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キーマンズネットの記事
「在宅勤務を認められたとしたら…それでも出社したい人は何%?」という中で、
理由は様々ながら、笑えるのは
「家内からは家に夫がいる事がうざったいと思われている。とにかく家にいない事が家庭円満のポイントです。(60代・男性)」とありました。
いかに男性が家事・育児から逃げるためにそれを正当化しているかというのが
みえてきます。これは共働きでも共通で、ご紹介のモロモロと通じますね~
投稿: minmin | 2011年9月 2日 12時51分
★minminさん
キーマンズネットの記事は、配信された日に私も読みました。「在宅勤務が認められたとしたら…」というお題に対し、「それでも会社で仕事をする」と答えた方が意外にも41%いた、という内容でしたね。そう考える理由は、ホント、様々なのだなと思いました。
女性というだけでマイナス評価されることが減るといいなと、いつも考えています。
コメント、ありがとうございました。
投稿: windy | 2011年9月10日 20時48分