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2009年12月 7日

坂東眞理子さんのダイバーシティ講演を聴講しました

先月、坂東眞理子さんの講演をお聞きする機会に恵まれました。今回もまた、よいエネルギーを頂けたように思います。

講演をお聞きするのは、今回で2回目。1回目のときは、「働く女性の品格」がテーマでしたが、今回は「ダイバーシティ」がテーマでした。以下で、私のメモを、紹介させていただきます。前半は社会的マクロな話。後半にポイントがあります。

◆日本的繁栄の時代について

日本のメンタルセットは、「みんなでがんばろう」。地域コミュニティは崩壊したけれど、会社コミュニティは残り、男性の健康な人たちにとっては、パラダイスになった。

「24時間戦えますか?」という時代は、パートナーが家庭の面倒をみる、という、分業体制をとっていた。女性は、夫や子どもを通じて、社会に接してきていた。

これが、同質性をエンジョイする、日本的繁栄の時代のシステムだった。

◆アメリカでは

クリントンさんのときに、法律で、12週間の育休か可能になった。それまでは個別交渉だった。当時の日本は産前産後6週間ずつの休暇だったことを考えると、遅れていた。

アメリカ政府は、保育所に対してお金を出さない。福祉を自分で買う。それが高価であるから、企業内保育所の需要がある。日本とは事情が異なる。こういった事情から、中流家庭は、ダブルインカムでないと、やっていけない。

1980~1981年と2004~2005年の2回、アメリカの女性のインタビュー調査をしたことがある。1980~1981年の調査結果が、今の日本に似ている。管理職に占める女性の割合が10%くらい、メンターがいない、オールド・ボーイ・ネットワークがない、ロールモデルがいない、といったように。

ところが、2004~2005年の調査では、そんなことを言わなくなっていた。女性が働くのが当たり前、母も姉も働いているという状態になった。男性の4割くらいが、家事・育児を分担するようになった。アメリカは政府は何もしない国であるが、そのかわりを企業とパートナーがしてきている。また、きちんとした教育を受けた人のマジョリティが、女性になってきている。

◆北欧では

ウェルフェア・ステート。みんなのコンセンサスを得られるかが課題。収入の4分の3が公的出費になってしまうから。公的支出の割合が高いから、活力がなくなってしまうのではないか、と恐れる人もいる。

日本は、北欧的施策を取り入れ始めている。今までは高齢者シフトだったが、若者シフト・子どもシフトになってきた。

女性の労働率に変化が出てきている。M字カーブ(*1)の底が浅くなってきている。育休制度、待機児童ゼロ作戦などの効果か。初婚年齢がアップしてきている。これも、M字カーブが変化した一因。

男性に非正規社員化が進んでいる。「年金暮らしの両親と非正規社員の子ども」という組み合わせの家庭が増加している。

*1) M字カーブとは?
女性の年齢階級別労働力率をグラフに表すと、25~29歳と45~49歳が左右のピークとなり、その間の30~34歳を中心に、グラフがちょっと低くなります。これがM字カーブと呼ばれるもの。子育てをしている人が多い30歳代が、主にこのMカーブに該当します。

◆女性登用について

雇用機会均等法は、改正を重ねて、法律らしくなってきている。育児介護休業法も、4回強化されてきている。次世代法も2003年にできた。ワークライフバランスも推進されてきている。

問題なのは、制度が出来たけれども、育休を取りやすいかということ。正社員は90%が取得できるようになってきているけれど、非正規社員に対しては、まだ不十分である。

少子化対策は進んでいるが、女性活用はまだ。ノルウェーでは、男性か女性か、どちらかの性が4割未満だったら、会社設立が認められない。独特な国である。

日本は均一社会だったが、異分子を活用できるか?異分子とどのようにコミュニケーションするか?異分子とどのように協力するのか?これらが新しい日本の課題になっている。一番の身近な異分子は、女性ではないか。

企業のトップは旗を振るが、現場に行けば行くほど、抵抗感がしみついている企業が多い。人材を外から連れてくるだけでは、企業風土を変えるには至らない。違っているのも面白いと思ってみてはどうか。

女性登用を考えるのであるなら、何でもいいから女性を管理職にする。このとき、ひとりだけではだめ。少なくとも3人、まとめて登用する。能力があれば、その女性は生き残る。その女性を見て、周囲の女性社員は、頑張れば登用されると思うようになる。

会議に出ないことは、排除につながる。企業に対してコミットしていくというカタチを女性にも与えることが必要。

いきなり登用するのではなく、研修も機会を与え、期間、リーディングタイムを設ける。女性登用の長期目標を立てるようにする。そうすれば、うちのセクションも育てなければ、という気持ちになる。

女性社員は、女性管理職が身近にいると、気楽である。一方、女性管理職が身近にいないと、とても無理だと思ってしまう。プライベートを犠牲にして頑張らないと、女性は管理職にはなれないと思ってしまう。こういった、目に見えない恐れが一番怖い。

男性管理職は「うちはやっている」と言うが、女性社員は「無理」と思っている。

コストがかかっても、メリットがあれば、女性を登用するはず。でも、女性登用のメリットが数値として出ていないのが現状。

成績で並べて採用することにしたら女性ばかりになってしまうから、採用時に男性に下駄をはかせているというのは、公然の事実。

部下に対する期待の差がある。女性部下に、ちゃんと期待していない。それに、ちゃんと叱れない。ぼんやりとではなく、具体的なミッションを示すように。

均一社会だったときは、コミュニケーション能力は必要なかった。現在は、男性を含めて、異分子化が進んでいる。

子どもを持たない人が、「育児は大変だ」と言っている。子どもを持っている人は、「なんとかなる」と言っている。

女性社員に対する調査では、「期待する最大の報酬は、自分が成長しているという手ごたえである」という調査結果が出ている。

女性を育てることを、上司が女性に対してコミットすること。女性社員のやる気のあるなしを見分けることが、上司は不得意なのではないか。女性はプリテンドするのがうまい、ということもあるけれど。

多様な女性を、多様に処遇することが大切。自分と違う人が何を言っているのか、把握すること。

ダイバーシティ推進について

企業は、ひとりひとりの多様性に対応できる、懐の深い上司を育成することが、一番大切。トップの人たちも、多様な経験を積むこと。そうすると危機に強くなる。多様な背景、多様な価値観を受け入れることが、許容力を持つことにつながる。

みんなが共有できるビジョンを高く掲げること。この会社は、こういう風に社会に役立っていると、示すこと。情報共有し、施策がどう決定されているかを共有すること。

(進化がそうであるように、)強い種でもなく、賢い種でもなく、変化に適用する種が生き残る。

◆感想

男性社員のみなさんの前で、スパッと言い放ってくださったことが、気持ちよかったかも。気持ちを代弁して頂いたように感じた部分も、多くありました。話の仕方も、とても参考になりました。

他の記事でも紹介させていただたのですが、この日、坂東眞理子さんは、金色の糸があしらわれていたのだと思うのですが、落ち着いた金色に見える、おそらく白色のジャケットを着ていらっしゃいました。スカートは黒。大きめのイヤリングは金色でした。

講演が終わって退場される際、靴が見えたのですが、靴の色は、つま先とかかとの部分が黒色で、残りの部分が金色。つまり、上から下まで、金と黒でまとめられていたのでした。さすがです。

坂東さんと同じ年齢になった時、坂東さんのように、オシャレを忘れないおばさまに、私もなっていたいな。坂東さんに、お手本を見せていただいたような気持ちになりました。

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コメント

はじめまして,Windyさんと同じく,ボクネンさんファンのものです。
ツイッターでのボクネンワールドから,Windyさんのブログにたどり着きました。
とてもためになる記事を読ませていただき,いつもひそかに勉強になっています。
お礼をお伝えしたくなりまして,
コメントいたしました!
これからも楽しみにしています!

★Naooco_mさん
ブログまでおいでくださり、ありがとうございました!
Naooco_mさんもボクネンさんファンなのですね。
コメント、うれしく読ませていただきました(^^)
これからもよろしくお願いいたします。

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