デジタルデバイドが生む所得格差(情報通信白書)
ニュース記事によれば、「ネットで情報収集できるか否かが、所得の高低につながる」と、昨日公開された「情報通信白書 平成19年度版」には書かれているとのこと。この点について、総務省のWebサイトに掲載されている「情報通信白書」を読んでみましたので、ポイントを紹介します。
ネットを使えなければ所得低下 情報通信白書
また、情報取得による経済的効用について、過半数の人が、多くの情報や新しい情報を得ることが経済的に有利と考えており、白書は「情報にアクセスする手段を持たない人は、経済的効用が得られず、所得が低くなる可能性が考えられる」と分析した。
引用元: ビジネス‐情報・通信 ニュースイザ!
情報通信白書によれば、所属世帯の年収が高いほど、以下の傾向があるそうです。
- インターネット利用率およびブロードバンド利用率が高い。
- 情報通信機器の保有率が高い。
- パソコン・携帯電話・PHSを保有している人の割合が高い。
「デジタルデバイド」ですね。デジタルデバイド(degital devide)とは、情報技術(IT)を使いこなせる人と使いこなせない人の間に生じる差のことです。このデジタルデバイドが産み出す情報取得量の差が、経済的な差につながっている可能性が示されていることは、興味深いところです。
多くの情報、新しい情報そして欲しい情報を得ることで、経済的な差につながると考えている人の割合は、情報通信白書によれば以下のとおり。半数以上を占めています。
- 多くの情報取得で経済的に得をする: 66.5%
- 新しい情報取得で経済的に得をする: 54.0%
- 欲しい情報取得で経済的に得をする: 64.1%
所得があるから、情報通信機器を保有できて、情報を得たのか。それとも、情報通信機器を保有したから、情報を得ることができて、所得が増えたのか。両方の見方があるけれど、いずれにしても、「インターネットを利用して情報にアクセスできる人は、情報にアクセスする手段を持たない人に比べて、経済的に高い効用を得ることができる可能性が高い。」というのが現状のようです。
子どもたちが大人になる頃には、今よりももっとたくさんの情報に囲まれていると思います。溢れる情報の中から自分が必要な情報を得る方法を、子どもたちには身につけてほしいと考えていましたが、情報通信白書の以下の引用部分を読んで、その気持ちがより強くなりました。
(2)所得から見たデジタル・ディバイド
現状において、インターネット利用状況及び情報通信機器の保有と所属世帯年収には正の関連性があり、また今後、情報へのアクセス力の差が更なる経済的な格差に結び付く可能性があることが分かる。
すなわち、インターネットを利用して情報にアクセスできる人は、情報にアクセスする手段を持たない人に比べて、経済的に高い効用を得ることができる可能性が高い。一方で、前述したとおり、情報にアクセスする手段を持たない人は、情報にアクセスできれば得られたはずの経済的な効用を得ることができず、そのために更に所得が低くなるという、いわば負のスパイラルに陥る可能性が考えられる。
引用元: 総務省 - 情報通信白書 平成19年度版
デジタルデバイドをなくすために、100ドルパソコンを作って配布するという動きもありました。デジタルデバイドは、地球規模の課題になっているとのこと。この話題についても、アンテナを高くしておこうと思います。
チュニス(チュニジア)発--約100ドルのゼンマイ駆動式ノートPCが、2006年後半には貧しい国の学校に通う子ども達の手に届くことになりそうだ。
…中略…
このプロジェクトは、消費電力を最小限に抑えたワイヤレス機能搭載のノートPCを開発し、それを約100ドルで製造する意志のあるメーカーを探して、さらに各国政府に最低でも100万台の初期発注を行うよう説得し、学校に通う児童に配布する、というものだ(同プロジェクトでは2年間に数千万台を製造/配布するという目標を掲げている)。
引用元: あの100ドルノートPCが2006年後半に登場へ - CNET Japan
情報源:
関連情報へのリンク:
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