残業ゼロでも帰宅するとは限らない
「企業も子育て・教育に参加する時代」というワークライフバランスに関する記事が、eureka! NEWSに載っていたので紹介します。
「上司が自分の部下を早く帰宅させるようになったとしても、社員がまっすぐ家庭に帰る保証はない」「従業員に家庭に帰るように企業が強制することはできない」という点を、興味深く読みました。つまり、残業しなくてよくなったとしても、今まで残業していた時間を、従業員が育児や学校教育のために使うとは限らないということです。
これは他の記事でも目にしたことがあります。
たしかに、それは言えるかも ^_^А;
教育再生会議の第1次報告では、家庭や地域社会とともに企業も加わって「社会総がかり」で子どもの教育に当たることが提言され、「企業もワークライフバランスを実現し、教育に参画する」とされた。こうした動きを受けて日本経団連は4月、「企業行動憲章」実行の手引きを3年ぶりに改訂し、第4条の労働・雇用関係について、従業員が育児や学校教育に積極的に参画する機運の醸成を図ることを盛り込んだ。
しかし、現場の状況は厳しい。日本経済新聞5月27日付によると、トヨタ自動車の張富士夫会長は「部下を早く帰らせるよう役員会で呼び掛けたが、『まっすぐ帰る保証はないですよ』と副社長らから返ってきた。従業員に強制はできない」と話す。
企業トップが呼び掛けても、職場の意識はなかなか変わらないのが現実だ。だが、ワークライフバランスの実現は、社員のやる気と能力向上につながっていくはずである。時間をかけて会社も社員も意識を変えていく努力が大切だろう。
引用元: eureka! NEWS - 企業も子育て・教育に参加する時代
「企業行動憲章」第4条では、ワークライフバランスの推進について触れられています。その中で、上で引用しているニュース記事に関係があるのは、以下の部分です。
(3)経営トップのリーダーシップ発揮と職場の意識改革
経営トップが柔軟な働き方と多様な人材の就労参加を重要な経営上の基本方針の一つとして位置づけ、少子化、人口減少社会にも対応できるようにする。その一環として、従業員が育児や学校教育に、積極的に参画する機運を醸成する。また、職場の意識改革を徹底し、メリハリのある働き方を実現する。
引用元: 企業行動憲章 実行の手引き(第5版)のP.24(PDFファイル)
上記のとおり、「企業行動憲章」には、「従業員が育児や学校教育に、積極的に参画する機運を醸成する。」と書かれています。企業と従業員双方の意識改革がなければ、ワークライフバランスは実現しないということのようですね。
「親学」も「ワークライフバランス」も、その人が必要性を認識してやろうと思わなければ、うまくいかないと思います。仕組みづくりは比較的簡単にできるかもしれないけれど、難しいのは人の気持ち。かかわっている人たちの意識改革ですね。きっと。
関連情報へのリンク:
- 社団法人 日本経済団体連合会
- 企業行動憲章 実行の手引き(第5版)(PDFファイル)
※2007年4月に第5版に改版されました。
- 企業行動憲章 実行の手引き(第5版)(PDFファイル)
このブログの関連記事:
- 少子化問題に対する経団連からの提言
(2007年03月30日)
経団連が発表した「少子化問題に対する提言」を紹介しています。 - 労働市場改革に向けた行動指針策定へ
(2007年04月09日)
「ワークライフバランス憲章」について、触れています。
« [沖縄]沖縄美ら海水族館(2) | トップページ | 「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向(中間報告)に関する意見募集 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 残業ゼロでも帰宅するとは限らない:
» ありがたや・ぶつぶつ [日々のふわふわ帖]
昨日あんなぐーたら日記を書いたら、本当に旦那さんが晩御飯作ってくれました。チラシ寿司の元と買ってきたサーモンなどを混ぜるだけの難しくは無い料理だけど、ありがたや〜〜。
昨日は会社の定時退勤日だったらしい。それ... [続きを読む]
« [沖縄]沖縄美ら海水族館(2) | トップページ | 「ワーク・ライフ・バランス」推進の基本的方向(中間報告)に関する意見募集 »
私も日経でトヨタの副社長の言葉を読みました。思えば、私の以前の職場も、オフィス街にあって、夜19時過ぎたころから、客引きが街にあふれていたんですよね。たまには飲みに行くのもアリだとはおもうのですが、こういうところで男の人が時間をつぶしている間、家庭にいるお母さんは子供と一緒にお風呂にはいったりしているのに。。って、残業するたびに考えていたものです。また、いくらノー残業を提唱したところで、評価や成績のつけかた次第で、結局仕事を選択する方も多いでしょうし。制度も大切だけど、意識改革の方が難しいということを痛感します。
投稿: ちゃい | 2007年5月31日 10時25分
う~ん、まさに今のうち、ですねえ(笑)。うちのだんなさんも、たまには仕事の早く終われる日があるのですが、7月末に控えた一級建築士試験のことで頭がいっぱいで、必ずどこか喫茶店などに入って勉強して帰ってきます。私も取りたい資格、あるのにな~。そして帰宅してまずネット、ゆっくりお風呂に入って子供を私が寝かせていっしょに爆睡してしまう間自分はゆっくりまた勉強、朝はぎりぎりまで寝ています。一年だけならがまんできるんだけど、いいかげんに受かってくれ~(^^;)
すみません、ぐちでした。しかし、ほんとに、本人の意識次第でしょうね。うちも、試験が終わればいいパパです。
投稿: ちろなか | 2007年6月 1日 05時20分
ま、子育て世代の30代~40代で仕事を持っている場合は、自分の昇進などの時期とも重なってきますしね。
うちは昇進前も、昇進してからも大変でしたが…。
夫も評定をする立場なのですが、持ち帰りでやってます。社内では出来ないしねぇ。人を評価する基準が難しいと言っていました。
業種によっては、残業せざるを得ないものもあるのでは?有給休暇をきちんと取れるのなら、残業も止むなしと思ってますけどね。
投稿: おそなえ餅1号 | 2007年6月 1日 12時45分
★ちゃいさん
コメント、ありがとうございました!
意識改革って、難しそうですよね。トップダウンでの推進が継続されるのが一番効果があるんじゃないかと思っています。引用させていただいた記事の中に「企業トップが呼び掛けても…」という部分がありましたが、呼び掛けつづけてほしいなと思います。
例えば、赤ちゃん誕生で奥様がテンヤワンヤの状態のときに、旦那様は出産祝と称して飲み会つづきとかなると、ワークライフバランスというより、夫婦間のアンバランスが問題になりそう(^^;
★ちろなかさん
コメント、ありがとうございました!
> 私も取りたい資格、あるのにな~。
自分が試験勉強したいとき、旦那様の仕事の波とか、旦那様の試験のスケジュールとかが優先されてしまうのは、ちょっとムムムだったりしますよね。時間を捻出しているのは、自分側だけだったりすると尚更(^^;
旦那様、難しい試験に向けて頑張っていらっしゃるんですね。親が勉強している姿を、子どもはきちんと見ていると聞きました。そして、子どもも自ら勉強する流れができていくんだとか。旦那様もちろなかさんも、試験、パスできるといいですね(^^)
私もそろそろ、勉強モードに入らないとかな。ちろなかさんのコメントを読んで、ドキッとしました。
★おそなえ餅1号さん
コメント、ありがとうございました!
> 人を評価する基準が難しいと言っていました。
正しく評価されているのか、それを評価するすべがないことが、課題だったりしますものね。難しいですよね。
例えば「保育園児と幼稚園児の生活調査」結果の中に、「帰宅が早い父親は子どもの面倒をよく見ている」というのがありました。たしかに残業が必要な時期、業種など、あるとは思うけれど、少しずつでも帰宅時刻が早くなったら、少しずつでも家族の時間が増えるんじゃないかと期待しています。
投稿: windy | 2007年6月 3日 18時43分