SNSは「ナンバー・クラブ」の実現形?!
「ナンバー・クラブ」という星新一さんの作品をご存知でしょうか?ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の一つであるmixiをはじめたその日に私が感じたこと。それは、『SNSって、「ナンバー・クラブ」を実現したみたい』ということでした。
「ナンバー・クラブ」は、1973年(昭和58年)発行の、SF作家・星新一さんの著書「かぼちゃの馬車」に収録されているショート・ショート(短編)の一つです。
★以下の記事は、ネタバレの内容を含みます。これからお読みになる予定の方は、ご注意ください。
星新一さんの短編小説に登場する「ナンバー・クラブ」は以下のようなものです。
- ナンバー・クラブ会員限定の「話題発見サービス」が提供されている。
- このサービスは、ナンバー・クラブに備え付けられている装置に会員証をスキャンさせるだけで、初対面の人たちに会話のネタを提供してくれる。
- 会員の人たちは、「何月何日に何をした」という「過去の記憶」を、中央コンピューターセンターにあらかじめ登録しておく。
- 登録しておくことによって、その日、たまたま同席した人との共通の話題を、双方の過去の記憶の中から、コンピュータが検索し、提供してくれる。
一方で、SNSの特長は以下のとおりです。
- 会員限定
- 共通の話題(コミュニティ)を自分で見つけ参加することで、会話やイベントを共有できる
短編「ナンバー・クラブ」は、SNSの登場を予言したかのような内容だなぁと思いました。「ナンバー・クラブ」とSNSの違いは、以下の点かなと思います。
- 共通の話題をコンピュータが見つけてくれるのか、自分が探すのか
- 直接話すのか、ネットで話すのか
また、「ナンバー・クラブ」とSNSの共通点は、話題の局所性と関係の薄さにあると思います。この点について、現実世界に存在しているSNSは、肯定的側面も否定的側面も併せ持っていると感じています。ネットで会話するにしても、クラブで同じテーブルで会話するにしても、お互いのツボをついたような話題にワクワクとして、楽しめそうです。
短編「ナンバー・クラブ」が、書かれたのは1973年(昭和58年)であるという点がポイント。今から30年以上前に書かれた話だというのに、今でも全然普通に読めてしまう。SF作家の想像力の凄さを感じさせられます。
短編「ナンバー・クラブ」は、以下のような社会風刺(と私はとらえています)で締めくくられています。
----- 短編「ナンバー・クラブ」からの引用 (start) -----
「また、もどってきたよ。ねる前にいい気分になりたいんでね」
店のなかのお客は、さっきよりふえていた。みな、楽しげに話しあっている。エヌ氏はそのなかのひとりに声をかける。だれでもいいのだ。ナンバーと装置さえあれば、だれとでもすぐに親友になれる。
「どうぞよろしく。楽しくやりましょう」
会員証を入れ、ナンバーを押す。その指先は禁断症状がおこりかけているかのように、ふるえている。しかし、そのふるえはすぐにおさまる。三十秒たてば、そばにいる初対面の百年の知己と、新鮮で意外な、驚きにみちた、なつかしい話をとめどなくかわしあうことができるのだから。
----- 短編「ナンバー・クラブ」からの引用 ( end ) -----
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『ナンバー・クラブ』でググって辿り着きましたm(_ _)m
>短編「ナンバー・クラブ」は、以下のような社会風刺
>(と私はとらえています)で締めくくられています。
私は古くからのネット利用者でニフティサーブにもハマっていました。
ですから純粋にナンバーサービスの実現を淡く期待してたのですが、
windy's さんの締め括られたようにネット中毒の予言がオチなのでしょうね…
私は完全にネットジャンキーの廃人です(苦笑
投稿: alfee_second | 2012年3月29日 07時03分
★alfee_secondさん
何事もほどほどにということなんだと、私は思っています。
『ナンバー・クラブ』でググってたどり着いてくださったとのこと。星新一さんの『ナンバー・クラブ』を読んだのは、相当前のことになります。読み返してみようかな。コメント頂いて、そんな気持ちになっているところです。
コメント、ありがとうございました。
投稿: windy | 2012年4月 9日 02時00分